忍者ブログ

束縛スル島

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

陰と陽と明と暗の陰と暗

こんばんは。
愚腐弟です。


姉がペケ蔵さん小説を公開しましたね。
後編では一体どうなるのでしょうか。
僕も内容は全く聞いていないので皆様と一緒に続きを待ちたいと思います。
というのも皆様にお答えいただいているアンケートなのですが、僕は全く関与していないので(笑)
姉なら皆様の期待に応えて素晴らしい話を書く事でしょう。
俺なんかが書いたってしょうがねえからな☆
というネガティブな思考が渦巻く今日この頃。
卑屈良くない!!


☆前回のブログの内容について
前回のブログで僕は「好きだという気持ちが嘘になってしまうのが嫌だ」と書きました。
それは、僕が物心ついたときから現在までずっと胸に抱いていた思いです。
ブログを公開してから、その思いを客観的に考えてみました。
つまるところ、自分の思いが嘘になってしまうと思い込むのは、自分自身の心さえも信用していないからなのではないか、と思いました。
自分の思いに確固たる自信がないから、本当は好きじゃなかったんじゃないか、その時の気の迷いだったんじゃないかと考えてしまう。
だから、自分自身に対してもその思いが本物である事を証明してやらなくては信用する事が出来ないのです。
たぶん、普通の人なら「好きである」ことはもっと素直に受け入れているのではないのでしょうか。
そして「今は好きじゃない」ということも受け入れられる。
今は好きじゃなくても、昔は好きだったという思いが確かに残っているから、自分自身でわざわざそれを証明してやる必要もない。
僕みたいに「好きである」ことが嘘かもしれないなんて迷う事もない。
そんな結論に至ると、自分の至らなさ加減が嫌になりました。
卑屈良くない!!!!!!!


ネガティブな事ばかり書いて申し訳ないです・・・。
なんかめっちゃスランプっす・・・。


↓僕宛の拍手返しです。
> 匿名の者さま
いろいろな作品を教えていただきありがとうございます!
とりあえず瀬戸○廉也さん作の某祭をプレイしてみました。
驚いたのが瀬戸○さんの文学に対する知識ですね。色々な作品を読まれているのだろうなと思いました。
某ENDのホテルでゲーム中の二人が金色夜叉の内容を模すシーンなどは、独特の雰囲気を醸し出していてとても印象に残っています。
未来に待つのは破滅であると思うのですが、そんなことは意に介していないかのように底抜けに明るく振舞っている二人を見ていると、妙に心打たれ物悲しくなりました。
・・・そのENDもう一度プレイします(笑)
僕の作風が瀬戸○さんに通ずるところがあるかもしれないとのことですが、自己分析してみると、偏執的なところは少し似ているかもしれません(笑)
しかし「自分の作風に似ているかもしれない」というフィルターを通して作品をプレイすると、自分とのレベルの違いを思い知らされますね。
文章の表現力も、シナリオ構成も・・・・・・。
ひたむきに努力して、自分自身を追い詰めて、色々な事にもっと貪欲でなければならないと思いました!
教えていただいたほかの作品も時間を見つけて読んで見たいと思います!

拍手

PR

小ネタその1の前編を公開しました

バドです。


結局ペケ蔵さんの方を先に書き終えたのでこちらを先に公開することにしました。
異変怪道編のペケ蔵さんなのでだいぶ打ちのめされてます。
後半は一週間後に公開します。時間稼ぎですゴメンナサイ…('A`)
ネズに投票して下さった方は申し訳ありません!
もう少々お待ち下さい。
あと、ネズだけじゃなくて近遺研3人とも出てくることになりそうです。
ネズ視点で書くのは難しそうなのでノヴシゲ視点になったらいつも通りな感じに……。
うーん、かっこいいネズが書けない…書けない…ない…








拍手お返事です↓


>匿名の者さま
そうですね、女性キャラ同士の関係を掘り下げて書くのもありかもしれません。
でもなんだかんだで束縛の時には一緒にお風呂にも入っちゃったし、苦手意識は無くなっている可能性も……?
女性同士でも一緒にお風呂に入って裸の関係になるとぐっと距離が近づくような気が……あれ?そんな気がしてるのはもしかして私だけかな(´∀`*)?
二次創作に関しては皆さん私が描くよりよほど魅力的に描いて下さってて本当にありがたく思ってます!
広めて頂けるなんて恐れ多いです…(´Д`;)
愚腐弟からはまた別にお返事するそうです!

拍手

ミドルノート 前編

※異変怪道編のエピソードになりますのでクリアしていない方はご注意下さい。





 





 近くの川で集めてきた10匹のオタマジャクシ。
 イチゴが入っていた透明な容器に水を溜めて、縁側で飼っていた。
 オタマジャクシは雑食なので、ご飯粒や鰹節、パンなど、与えれば何にでも群がってきた。体を震わせながらその小さな口でつつく様子がとても可愛らしく、ちょろっと生えてきた後ろ足を見て早くカエルにならないかとワクワクしたものだった。

 しかし、ある日僕は、ちょっとした不注意でそのオタマジャクシを入れた容器を縁側から落としてひっくり返してしまった。

 10匹のオタマジャクシは炎天に晒された地面の上に投げ出された。



       ◆




 晩春の暖かな公園で遊ぶ子供達を横目で見ながら、そんな昔のことをふと思い出した。
 
 昨夜午後7時50分頃、自転車で帰宅中の大学生一年生の少年の顔を、同じく自転車に乗った二人組の男がいきなり殴りつけ、「金を出せ」と脅す強盗致傷事件が発生した。
 被害金額は財布に入っていた15000円。被害者は全治2週間の怪我を負った。
 それに伴い、被害にあった現場付近で他に二人組に関する目撃証言が無いか、聞き込みをして回っていたところだった。

「まーたそんな目で見てる。筧さん、不審者に思われますよ」

 相方の平康太、通称『ヒラ』に突っ込まれて、僕ははっとして姿勢を正した。
 ヒラは強行犯係にはまだ配属になったばかりの26歳であるが、既に可愛い妻子持ちだ。
 警察官は割と早いうちに結婚する奴が多い。さっさと独身寮から出ていけるというのもあるが、ハードワークゆえに心の支えが必要だと、周りがやたらと結婚を勧めてくるからだ。ただし家庭が二の次になってしまうことが多いので離婚率もそれなりに高いが。
 独身の僕もずっと寮生活だったが、元々実家が通勤圏内にあったし、定年退職後、民間企業に勤め始めた父と今なら少しは落ち着いて話すことが出来るかもしれない、と、30になったのを機に実家暮らしを始めたのだった。
 だが父も休日はパチンコに行ったり釣りに行ったりと、家にいることが少なかった。結局ろくに話もしないままパチンコ屋で倒れて帰らぬ人となった。僕は迷惑をかけたパチンコ屋とその時に救命活動を行ってくれた他の客に礼をし、最後まで父の尻拭いをせざるを得なかったのだ。
 その後僕は、嫌な思い出だらけの実家を売り払い、近場にマンションを購入してそこに住むようになった。

 最後まで分かり合えなかった。

 ……いや、僕は分かり合いたいと思っていたのか?

 父子家庭であったのに、お互いにどう接していいかわからないままだった。父はとっくの昔に僕を殴らなくなったが、皮肉なことにそうなることでかえって僕と父の接点は無くなっていった。
 僕は父に強制されて小学生の頃から近くの警察署の少年柔剣道教室に通い、柔道と剣道を共に習ってきた。そこまで運動神経が良い方でもなかった僕にとっては両方をこなすのはつらかったし、始めのうちはこれも父からの暴力の延長のように感じていた。もちろん、途中でそれぞれの面白さや奥深さに惹かれるようになって、中学生になる頃には苦痛には思わなくなったが。
 警察官でも柔道と剣道の両方をやっていた人間は多くはない。ただ、柔道のみをやってきた人間は危害を加えようとする相手と対峙した時にすぐに相手の懐に飛び込もうとする為、怪我をする確率が非常に高いのだ、と、以前当時の上司から聞いたことがあった。もちろん剣道をやっていたとしても丸腰ではどうにもならないが、間合いをしっかりと取ることが身に付いているので職務中に怪我を負う確率が圧倒的に柔道のみをやってきた人間よりも低くなるらしい。
 僕はその話を聞いた時に、僕が両方やらされていたのはもしかしたら父が僕のことを思ってくれていたからではないか、と考えた。父自身は柔道しかやっていなかったからだ。しかし、その真偽を確認する時間は、最後まで訪れなかった。

 幼少から大学を卒業するまでずっと家政婦として来てくれていた花井さんだけが、僕の仮初めの母であり心の寄りどころだった。
 花井さんにも家庭があったから遅い時間になれば帰っていったが、それでも、学校から帰った僕を迎え入れてくれる人がいるだけでも、幼い僕は心の安定を手に入れることが出来た。
 僕の本当の母親は、僕が幼い頃に姉を連れて出て行ってしまったまま行方知れずになったと父は言っていた。僕の中に母親の記憶はほとんど無い。父に殴られる僕を庇って、同じように父から殴られていたようなおぼろげな記憶があるが、それが本当の記憶なのか、母を求めた自分が作り出した記憶なのか定かではなかった。

 一昨年、実家にその母が死亡したとの手紙が届いた。宛名は僕の名前だったが、差出人の住所も名前も無かったのは、父を敬遠するためか。僕の話を聞いていた母の周りにいた何者かが気を利かせて知らせてくれたのだろう。
 長らく離れていて記憶もない母親だ。ショックは無かった。暴力を振るう父親の元に僕一人を置いて家を離れた母親の死に、僕はびっくりするほど冷静だった。母と一緒にいなくなったという姉の手がかりになるかもしれないと消印の先である山梨県の町を探ってはみたけれど、結局差出人はわからなかったし母達がそこにいたという話も得られなかった。

「不審者は無いだろ。不審者は!」
 僕は明るく振る舞った。
「いやいや、こんな真昼間に町中をウロウロしてる男がそんなもの欲しそうな目でじーっと子供達を見てたら、自分なら職質しますね! 間違いなく!」
「ウロウロしてるのはお前も一緒だろ!」

 ……そうだ。ヒラの目は間違っていない。

 僕は先日、少女を殺した。

 始めは殺意があったわけではなかった。偶発的な過失だった。
 ……だがその後、包丁を繰り返し振り下ろした僕の中には明確な殺意が生まれていた。弁解のしようが無い。あの時に何故あんな感情を抱いてしまったのか、今ではわからない。殺人の動機の多くが突発的なもの……わかってはいたが、身をもって実感することになるとは思ってもみなかった。
 彼女……サリちゃんの遺体は人目のつかない廃屋の汲み取り口の中に隠した。部屋に残った血痕も酸性洗剤で処理はしたが、結局のところ全ての痕跡を消すことは不可能に近いので部屋を調べられればわかってしまうだろう。捜索願が出されてから僕のところに捜査の手が届くまで、どれくらい時間が残されているのだろうか。
 こんな風に、仕事の合間にヒラとふざけあうことも出来なくなる。家庭を持つことを望む前に、もはやそんなことも出来ない立場に追い込まれてしまった。
 犯してしまった行為は、どう抗おうとも無かったことには出来ない。そもそもが無計画だった犯罪は穴だらけだ。普段からその穴をつついているのは僕らなのだ。

「まあ今回は、被害額も被害者のケガも大したことなかったようだし、良かったですよね。今日は早く家に帰れそうだ」

 僕は再びはっとしてヒラに顎を向けた。こんな発言、警察官がしていいものではない。

「逮捕も出来てないんだからまだそんなこと言うなよ。連続犯になって、女の子とかが狙われたらシャレにならないぞ」

 以前担当した強盗強姦致死事件の被害者の痣だらけの姿を思い出して、胃がきゅっと締め付けられた。あれは本当に胸糞の悪い事件だった。
 だが今となっては、僕も似たようなものなのかもしれない。あの時の被害者よりもっと年若い少女を手にかけ、不浄な場所へと隠した僕と、あの時の犯人と、一体何が違うのだろうか。生前に性を弄ぶような行為をしなかった。違いはそれくらいしかない。行ったのは共に、死に至る暴力行為だ。

 あの直後は妙に冷静になっていたけれど、日が経つごとに罪の重さの重圧と、サリちゃんに対する懺悔の気持ちが湧いてくる。
 こうして平然を装ってはいるが……。

 このところ、背後に何かの視線を感じることが多い。
 誰かに見つめられているような気がする。

 おそらく、世間に対する後ろめたさがそうさせているのだろう。

 捜査の手が僕に及んでいないか、何者かに監視されていないか、気を張ってしまっているからそう感じるのだろう。
 人を殺した後に平然としていられる人間の方が少数派だ。
 僕は至って普通の人間だ。
 だから、今の僕の精神が、平常とは違うというだけなのだ。
 この気配は、僕の気のせいだ。




       ◆




 『我々が動き廻っているのも、生存しているのも、常に同じ埒内にあるのであって、生きているからといってその為に新たな喜びが作り得られるわけのものではない。
 渇望する憧れは、とても達せられないうちは、それが他の何物よりも優れたものでもあるかのように見えるにすぎない。
 その渇望も、一旦達してしまえば、またその後から別なものを我々は渇望するようになる。』

 ルクレティウスの言葉だっただろうか。
 自分に無いものを求め続けていると、常に不満を抱えたまま同じ輪の中をグルグル回るだけだ。
 多くを望まなければいいのだ。
 目の前にある幸せ。充分だ、それで。

 ……充分だった、はずだった。








 玄関の扉を開ける。
 自分の部屋の匂いを嗅ぐと気持ちが落ち着く。すぐにネクタイを緩めた。
 横着して夏用のスーツをまだ出していなかったが、汗で張り付いたシャツを見るに、もう限界だろう。
 明日こそは衣替えをしなくちゃな……。
 歩き続けて底の浅くなった靴を雑に脱ぎ捨て、僕はギョッとした。

 目に入る、小さな黒い靴。
 ……ローファーだ。
 中高生が履くようなシンプルなパテントローファー。
 彼女の……。 

「あ、おかぁりっスー」

「!!」

 改めて玄関を俯瞰して眺めれば、そこにあるのは、シンプルな作りの黒のスリッポン。
 僕のではないことに間違いは無いが、ローファーなどではない。僕の見間違いか。
 そうだ、僕はサリちゃんに彼女の履いていたローファーを履かせて汲み取り口に押し込んだのだ。こんなところにあるはずが無い。ここまで臆病になっているとは、我ながら笑えてくる。
「馬鹿みたいだな……」
 僕は安堵の息と共につい独り言を発してしまった。
「守也くん、いるのか?」
 廊下の奥の部屋に声を掛けながら近づいていく。
 ドアを開けた先には、リラックスした体勢でソファに寝転がりながらテレビの野球中継を見ている守也くんの姿があった。
「オジャーシッテあーす」
 テレビは野球の試合を映している。馴染みのある青いユニフォームと、これまた有名な黒とオレンジのユニフォーム。
「……テレ玉観てるのか。相手は……巨人か。そういえば交流戦の時期だな」
 テレ玉とは、テレビ埼玉のことである。しかし守也くんは別に西武ファンでも何でもないはずだ。
「いやー、観るもんねーんですもん。最近のテレビ似たようなのばっかでつまんねーし、どのチャンネル回しても同じ芸人しか出てこねーし、ニュースは辛気臭くてもっとつまんねーし!」
「ラジオでは広島戦もやってるんじゃないのか?」
 そう思って、朝からポストに入ったままだった朝刊を抜いてきて眺める。
「……うわあ、文化放送もTBSもニッポン放送も、全部西武巨人戦か」
「偏り過ぎっすよー! いっこくらい広島戦やっててもいいのに!」
 そうやって唇を尖らせる守也くんだが、そこまで熱烈な広島ファンというわけでもないらしい。
 広島にいた頃は『広島ファンでなければ非国民』、というムードだったと言っていた。小学生の頃は野球をやっていたらしいので、周りに流されるままに広島を応援していたのだろう。
 それでも彼は、おそらく今の2軍の選手名までは知るまい。本当はサッカーの方が好きなのはウイイレに付き合わされる頻度でよくわかっている。今だって、サッカー中継があればそちらを観ているに違いないのだ。
「夕飯はどうした?」
「食う金無いから来たんすよ」
「……まあ、そうだよな」
 聞くまでもなかった。
 彼はこうして有り金が尽きたり、節約したい時にこうやってちょくちょくタカリに来る。また、この最寄り駅で仲間と路上ライブをしているようで、終電が無くなる時間までやったらそのまま宿を借りに来たりもする。僕の不規則な生活で留守にしがちなこの部屋は、彼に体よく利用されていた。
 もっとも、長い寮生活で自然と溜まっていった貯金や父の遺産もあって今は金にはそれほど困っていない。だから、たまに彼一人分くらいの食費を負担するくらいどうということは無い。
 彼もそれをわかってやってくる。僕が本当に疲れて休みたい時には構わずに寝かせてくれるし、しょっちゅう散らかしたままなのが困りものだが、他に誰が訪ねてくるわけでもなし、迷惑だと言いつつもまんざらでもない自分もいる。
 いや、ずっと迷惑だとは思っていた。だが、サリちゃんを殺した事実に平常心を保てなくなりそうな今、彼が傍にいると気がまぎれていい。
 僕がサリちゃんを殺したのは、この部屋なのだから。一人でいると、色んなことを考えてしまって寝付けなくなりそうだった。
「とりあえずレトルト牛丼しかないけどそれでもいいか?」
「いっす。何でもいいっす。あーチェンジか」
 テレビを観たままの守也くんを尻目に、カウンターキッチンに立つ。鍋に湯を沸かし、レトルトご飯をレンジに入れる。そういえば冷蔵庫にトマトがまだあったはずだ。牛丼だけよりはマシかと、冷蔵庫から取り出して切ることにする。体力と時間に余裕があればもっとちゃんとしたものを作るが、守也くんはレトルトでも文句言わずに食べるから今日はこれでいいだろう。
「……」
 取り出した包丁の刃をじっと眺める。
 僕はこれで、彼女を刺した。
 よく洗浄した後にそのまま使っている。当然気分の良いものではない。気分の良いものではないが、外に捨てて足がつくのも避けたいし、買ってそれほど経ってないのに無くなったことを守也くんが不自然に思っても困る。
 トマトを食べやすいサイズに切って、オリーブオイルとバルサミコ酢と塩、黒コショウをあわせてかける。マヨネーズを切らしたままだったのだ。
「……たまには自分で作れよな。なんで僕が全部やってるんだよ。部屋使わせてやってるんだから、メシ作るくらいのことはしてくれよ」
 別に料理は嫌いではないのだが、この部屋の持ち主が誰であるか示しはつけておいた方がいい。
「オレ、家庭科とか真面目に受けてなかったっすけど、それでもいいっすか?」
 守也くんの作るものに期待など抱くはずもない。
「前も言っただろ。料理は経験なんだよ。やらなきゃいつまで経っても出来るわけないんだから」
 そう言いながら、守也くんの方に視線を向けて、僕は固まった。

 守也くんの座る傍に落ちている、赤い輪っかのようなもの……。

 ……ヘアゴム?

 なんで、ヘアゴムがこんなところに?
 当たり前だが、僕も守也くんも縛るような髪の長さではない。そもそもヘアゴムを持っている男は少ないだろう。

 ……サリちゃん?

 まさか。
 彼女は長い髪をしていた。だがサリちゃんの持っていた荷物は全て彼女の遺体と同じ場所に隠してきたはずだ。
 それに、散らかった大量の血痕を始末した時に、残ったものが無いか床もくまなく見たはずだ。なのに、何故……。
 くそ、とりあえずあれが守也くんの目に留まらないうちに隠さなければ。あんなものが見つかったら怪しまれてしまう。
 僕は、出来上がった牛丼とトマトをテーブルに運んだ。
「出来たぞ」
「ウッス」
 立ち上がった守也くんと入れ違うように、彼が座っていた場所に向かう。彼がテーブルに向いているその一瞬の隙に、ヘアゴムを拾おうという魂胆だった。
「あっ……」
 僕の足元には、守也くんが持ってきたギターが入ったケースがあった。ヘアゴムのことに気を取られて不注意だった足元がそのケースにぶつかった音を聞いて、守也くんが振り返った。
「ん? だいじょぶっすか?」
「……ああ、うん」
 動揺した僕はついうっかり、視線を気になっていたヘアゴムの方に向けてしまった。守也くんの目が、僕の目線につられてヘアゴムを捕らえる。
「あっ……」
「……!」
 ……まずい。
 どう誤魔化そうか。女性が部屋に入ったことにするとか? 何かを留めるのに必要だったから買ったとか?
 僕が唾を飲み込んで言い訳を考えている間に、守也くんは赤いヘアゴムを手に取った。
「オレのゴム。落としてたわ」
「え? ……君の?」
 守也くんは子供っぽさの抜けない顔で得意げに言った。
「コレ、ギターのナットに付けるとカッティングのキレが増すらしいんっすよー。いらねー弦をミュートにするんす。トモダチに言われてさっき買ってきたんっすよ」
「ギターの……」
 ギターのことはよくわからないが……そういうものだったのか。
 僕が表情を張り付かせていると、守也くんが破顔した。
「あれ? マコっさん、ナニ焦ってんすか? 部屋に髪ゴム落ちてるくらい……あ、もしかしてオレいない間にロングのオンナでも連れこんだんっすか? いつの間にィー?」
「そんなわけないだろ……」
 ケラケラ笑う守也くんを前に、僕も曖昧に笑う。
 曖昧に笑いながらも、胃の底の方から重たい怒りがこみ上げてくるのを感じた。
 もしかして、わかっていて僕をからかっているのか? 守也くんは無知ではあるが決して馬鹿ではない、聡い子だ。こうして一緒に過ごす時間が増えてそう感じることが多くなった。
 痕跡は残さないように処理はしたが、血で汚れたカーペットは替えざるを得なかった。カーペットが以前と違っていることはわかっているだろうし、何よりサリちゃんを隠した場所は以前彼と一緒に訪れた廃屋だ。
 つまり、僕の傍で一番僕の犯行に気付きやすく、遺体を発見しうる可能性があるのは守也くんなのだ……。

「まー、そうっすよね。マコっさん、女ッ気ねーし。もし……
 ……!!」

 僕は油断していた守也くんの体を足払いで投げて床に打ち付けた。
 重い音がする。
 そのまま体の上に跨ると、腕をスイングさせて頬を殴りつけた。
「…なっ……!? っで……!」
 抵抗しようともがく手を取って膝で押さえつけ、更に力いっぱい頬を殴った。歯の折れる音がする。困惑と恐怖に彩られた目が僕を見る。
「マコっ…さ……っ…!」
 逃れようと左右に首を振る守也くんの顔を殴り続けた。
 そのうちに守也くんの口からは血まじりの唾液が垂れ始め、折れた鼻から流れる血と共に新しいカーペットを汚した。
 抵抗する力が弱くなる。守也くんは始めは懇願するような目をしていたが、そのうちに焦点が定まらなくなっていった。
「痛いか?」
 僕は、細いがしっかりと喉ぼとけの浮き上がった彼の首を、両手で締め付けた。酸素を失った顔が、見る見るうっ血していく。
 苦しいのか、守也くんの指は震えていた。しかしそれでいて力強く、文字通りの必死さが僕の心をより昂ぶらせた。
 テレビから歓声が挙がった。西武の中村が2ランを打ったようだ。その盛り上がりに呼応するように、僕の心も躍っていく。
 守也くんの爪が僕の手の甲の肉を毟る。痛い。だがその痛みすら僕の感情の後押しをした。ばたつく足が、ドンドンと床を蹴る。

 ああ、痛い。僕は生きている。
 守也くんも生きようともがいている。
 
 胸がギュッと締め付けられた。初恋を胸に抱いた生娘のように。
 やがて守也くんの手は、力を失って床に落ちた。
 全身を鳥肌が立つ。恐れではなく、喜びで。

「はははっ。……ははははははっ」
 
 そうやって笑う僕の肩に、誰かが手を置いた。






「かけいさん」






       ◆





「筧さん!」
「……っ!!」
 僕はビクンと体を振るわせた。
 一瞬何が起こったのかわからず、目だけを瞬かせる。
「お。筧さん、起きました?」
「……」
 すさまじい動悸と汗だった。
 運転席には、土木作業員の格好で焼きそばパンを口に頬張るヒラの姿。
 いつもの、張り込み中の光景だ。
 そうだ……連続となってしまった強盗致傷事件で、犯人である可能性が浮上した男の自宅前で……。

 今のは夢だったのだろうか。

 息も荒く、首筋は重く痛んだ。覚醒を促すように、首を振ってみる。
「首、痛くなったでしょ? 思いっきり口開けながら首傾けて寝てましたからね」
「ああ……そうだったのか……」
 確かに口の中がカラカラに乾いている。口を開けたままの寝顔を見られたことに若干バツの悪さを感じながら、居住まいを正した。
「よっぽど疲れてたんですかね。なんか悪い気がしたから起こさなかったんですけど、うなされ始めたから気になっちゃって起こしちゃいましたよ。
 ……どうかしました? 汗すごいですよ。エアコン強めますか?」
 ヒラは洒落た黒ぶちの眼鏡の位置を直した。探るような仕草だ。
「……酷い夢を見たんだ……。
 ……悪い、ちょっと気分が。トイレに行ってくる」
「あっ、気を付けて」
 僕は助手席を降り、表に出た。熱気と青臭い臭いが鼻腔を通る。この時期はこんなに暑かっただろうか。こんなに暑いと、それだけで更に体がだるくなってくる。僕の隠した遺体もかなり腐ってきていることだろう。過去に見てきた腐乱死体の様を思い浮かべて更に気分を悪くした。
 ふらつく足のまま、すぐ傍にある公園の薄汚い公衆便所に向かった。

「…ぉえっ……!」
 個室に辿りつくまでに喉をこみ上げる衝動に堪えきれず、僕は洗面台に胃の内容物をぶちまけた。

 なんなんだ。
 なんだんだ、あの夢は……!

 考えれば考えるほど吐き気がこみ上げてくる。
 髪の間から浮き出た汗が顔を伝って口元まで流れ込んできた。
 一通り吐ききると、蛇口を捻って吐瀉物を流した。気分を晴らす為に顔も洗う。ハンカチは車の鞄の中だったな……と、濡れたままの顔を上げて、鏡の中の自分と目が合った。
 ゲッソリとやつれた、艶のない髪の作業服姿の男。目の下の影はどれだけ寝ても消えることはなくなり、目尻にうっすらと皺も寄っている。日に焼けた肌はキメも粗い。昔に比べるとヒゲの剃り跡も濃くなった気がする。
 僕はこの男をよく知っている。僕の記憶の中にある、僕を殴りつけていた頃の父の顔にそっくりだ。子供の頃はあまり父に似ていないので母親似なんじゃないかと花井さんに言われたが、歳を取り頬の肉が落ちてくると、父と同じような骨格が浮き出てきた。忌み嫌っていたはずの男の血が、この身に流れているという現実を突きつけられて、再び喉を苦い胃液が刺激する。
 まさに、あの男だ。守也くんに暴力を振るって喜んでいるあの姿。首を締めた感触と、体の中を駆け巡った切なさと喜びが、今も指先に残っている。
 そうだ。サリちゃんを殺した時も、僕は、僕の中に父の姿を見た。
 本当にあれは夢だったのだろうか。サリちゃんと同じように、守也くんも手にかけてしまっていないだろうか。あれが夢であったという確証も自信もない。それくらい生々しい感覚だった。
 僕はすぐさまポケットの中から携帯を取り出して、守也くんにメールを送ることにした。バイト中もこっそり携帯を所持しているという彼からの返信は、いつもびっくりするくらいに早い。彼が生きているのなら、すぐに返信が来るはずだ。
 『無事か?』と打ち込みたいところだが、大袈裟過ぎるだろう。『今日も来るの?』と取り留めの無い一文だけ入力して、送信した。
 そうして一息ついて、鏡から目を背けるようにうな垂れた。
 なんてざまだ。サリちゃんを殺してしまってからというもの、僕は相当、精神的に参っているようだ。早く車に戻って、ヒラと張り込みを替わってやらなければ。

「なー、コウちゃーん、マッチョレス家に置いてきていい?」
「おめー、マッチョレスって何だよ! 変なとこで噛むなよなー」
「ぎゃはは! マッチョレス! ぎゃははははははは!」 

 公衆便所の前を、中学生らしき4人の少年達が通った。
 騒々しいが、張りのある肌と声は若さに満ちている。彼等の姿は日差しを受けて輝いて、公衆便所の洗面所で嘔吐した惨めな30過ぎの男の姿とは対照的な強いエネルギーに包まれていた。
 僕もあれくらいの頃は、どうでもいいことにもくだらないことにも笑えていた。いつの間にこんなに物事を面白いと思える感覚が摩滅してしまったのだろう。あの頃に比べて知識も視野も広がった。普通に考えれば、広がった視野の分、楽しみは増えるはずだ。しかし得られたのは、物事を理屈で捉えようとしてしまって素直に楽しめない、凝り固まった心だ。
 僕はかつて、白寿島で犯罪行為を行おうとしていた守也くんをたしなめ、止めさせた。僕らの周りは小さな幸せで満ちていると。その小さな幸せがあれば苦しいことも乗り越えていけるのだと。
 あんなのは、僕が僕自身に言い聞かせてきた詭弁に過ぎない。目の前の小さな幸せで満足出来るほど大人の欲は浅くないし、小さな幸せなどで圧倒的な絶望に抗えるはずがない。守也くんが乗り越えられたのは、彼が若く純粋であったからだ。
 だが、そう考えてふと、60を過ぎているはずの花井さんのことを思い出した。彼女が昔から追いかけているという好きな俳優の話をする時は、まるで少女のように高揚した顔になる。ふくよかな彼女は肌の張りも艶もよく、歳より若く見えたし、明るくて周りを元気にしてくれる人だ。僕も何度彼女の明るさに救われたかわからない。弱々しくて道場の同級生にからかわれて泣いて帰ってきた僕を、生き生きとした笑顔で迎えてくれた母。あの人の生命力は、今の僕よりも遥かに強いように思えた。
 僕も、あの人のように本当に夢中になれるものを見つけられれば、また素直に笑えるんだろうか。人を殺してしまった現実と、身体的なピークを折り返し、これからただ老いていく身であるという絶望の中で。






 守也くんからの返信はまだ来ない。







拍手

ダービーウィークですね…



夏に大いなる出費の予定があり(決して旅行等ではない)新しいスキャナーを買う余裕がないのでまた携帯で撮ったラクガキです(´;ω;`)

競馬ファンはレースで季節を感じるものなのですが、本当に1年早いですね。
前記事で愚腐弟が「公開してから半年」と書いてるのを見て、もうそんなに経ってしまったのかと茫然としました。

先週のうちにやるべきことを一通り済ませておいたので今週はブログネタの執筆を頑張ろうと思います!

と思ってたらまたペケ蔵さんが盛り返してネズと同点一位になってた…!!

さて、どちらを先に公開しよう…。
ペケ蔵さんの方が異変怪道編で温めてたネタがあるので今のところスムーズに書けてはいます。
とりあえず両方ともある程度書けたらそれぞれ2回くらいに分けて連載するかなあ~と考え中。
まとまった時間が無いと気分が乗らない上に遅筆なので気長に待って頂けるとありがたいです('A`)




拍手お返事です↓

>匿名の者さま
私がネズを書くと何故かギャグテイストになります…。
ネズに関しては弟の書くネズの方がイケメンだと思ってるので、私も見習ってイケメンに書けるよう努力したいです。
FMSは本気でプロアーティストを目指しているのか…ということですが、そもそも親が許さないと思いますので、本当は浪人生で予備校に通うと言って東京(※実際には埼玉)まで出てきた可能性もあるかもしれません。
おそらくバンドメンバーも同郷だと思うので、そのメンバー達が東京の大学に行くことになったので東京の予備校に行くことにするも、浪人生と言うのはちょっと恥ずかしいので音楽やる為に出てきた、とみんなには言って回ってるとか…。
「予備校行くだけなら広島でもいいだろ!どうせ東京で遊ぶつもりじゃないのか!」と親に言われて、「東京(※実際には埼t)には警察の知り合いもいるし大丈夫だよ!」とか言ってペケ蔵さんを保証人として出してきた、とか。
すみません、今考えました(´∀`;)
とりあえず、彼が今の時点で好きでやりたいことを優先した結果がこうなんじゃないかと思います。
確かに女性キャラは真っ直ぐで芯の強い子ばかりですね。
ただ、それはノヴシゲの男性目線で見てるからで、それぞれの女性キャラ目線だと意外とドロドロしたものもあるかも……?
そういえば女性キャラ視点で書いたことないので、それで書いたら面白いかもしれないですね。
さすがにきく香ちゃん目線だと子供過ぎて書ける気がしないですが('A`)
ペケ蔵さんは結構胃をやられてるんじゃないかと思います(笑)
廃墟趣味もカメラ趣味も人のいないところで1人でやれる(=誰にも気を遣わなくていい)からじゃないでしょうか。

>ついたちさま
プレイして頂いてありがとうございます(´∀`)
orz<ウワー となってしまうようなお勧めの本、ということですが…ちょっと考えても…意外と出てこない…('A`)
私はどちらかというと、一番怖いのは人間、という話だったり、SFだったり、「衝撃のラスト!」というよりは後味があんまりよくない余韻の残る話が好きかもしれません。
ていうかSFとホラーって親和性高いよね…?
一応思いついたものを書きだしてみますが、ついたちさんの思うようなorz<ウワーじゃないと思います…すみません(´Д⊂
あとあんまり思いつかなかったので本以外のものも書いてみました…。

■本■
『避暑地の猫』宮本輝
軽井沢で起こる愛憎劇。ドロドロなんだけど何故か美しい情景が浮かび、一気に読めてしまいます。『優駿』から入って、宮本輝作品は結構読んでるんですけど、これが一番好きかもしれません。ただ、純粋な心を持ったリア充な友達に勧めたところ何故か低評価でした…。
『高い城の男』フィリップ・K・ディック
ナチスドイツと大日本帝国がWWⅡで勝利していたら?という歴史if小説。歴史だけどSF。1962年の作品で、これのオチと同じようなネタが昨今は溢れてしまってますね。私もだいぶこの辺から影響は受けてる気がします。
『殺戮にいたる病』安孫子武丸
ちょっと悪趣味なんじゃないかっていうくらいのサイコホラーっぷりです。これ、中学生の時に読んでorz<ウワーとなりました。それ以来読んでなかったのですが、今思えば前作のあのシナリオは無意識にこれの影響を受けてたかもしれません。ていうかまんまですね…。途中のアレな描写のインパクトが強すぎてオチをはっきり覚えてなかったので、パクるつもりは全く無かったです(´・ω・`)
■漫画■
『七夕の国』岩明均
寄生獣もいいですがこっちは全4巻でさらっと読めて面白いので何度も読み返してます。綺麗に(?)終わっているのでorz<ウワーではないですが、余韻が好きな作品です。
『夕焼けの詩2巻 レモンティーのみた夢』西岸良平
映画「Always」の原作本のうちの一つですが、この2巻は異色ですね。全然古き良き昭和じゃないです。全部一話完結の短編で絵にもクセがありますが、SFとして、ダークファンタジーとして見ると味があっていいです。バッドエンドだけではないです。西岸作品はコンプしてるんじゃないかってくらい子供の頃からたくさん読んでます。
『夢幻紳士シリーズ』高橋葉介
夢幻紳士シリーズは色々あるんですが、これの青年版は怪奇幻想譚といった感じです。主人公の
魔実也の色気はなんなんでしょうね…?ホラーなんだけど美しいんだよねえ…。基本は一話完結の話の詰め合わせなのでバッドエンドばかりというわけでもないですが、雰囲気だけでも味わって頂きたいです。
■アニメ■
『蟲師』
超有名ですが、バッドエンドなのかハッピーエンドなのかちょっと悩むストーリーが多いのが好きですね。しかも穏やかに時が進む…。ただ私はこの中では人気のある(?)「枕小路」みたいな明確なバッドエンドの話より、自然への畏怖の詰まった「やまねむる」が一番好きだったりします。
『魍魎の
匣』
これも超有名で、原作シリーズを勧めたいところですがあのサイコロ本を読むのは結構大変なので(腕の筋力的に)、入り込みやすくまとまっているアニメをおすすめしておきます。
ただ、ラストの方の花火で私は
orz<ウワーとなりました(笑い的な意味で)。
『バジリスク 甲賀忍法帖』
甲賀と伊賀でロミジュリやってるのでバッドな展開しかない。ただ面白い。ニンジャナンデ!?と言いたくなるような忍者ばっかり出てくる。それでも面白い。天膳様のネタ的にも面白い。CDドラマのはじけっぷりが更に面白い。絵柄がなんか90年代っぽいけど面白い。
■映画■
『降霊』
嫌な不気味さがあるしストーリー的にも魅せる映画です。こういう直接的なグロ描写の無いホラーっていいよね(´∀`)?

バッドエンド関係なくただ好きな作品挙げただけやんけ(# ゚Д゚)!!

…すみません、愚腐弟も記事で色々勧めてるの多いしたまには…ね?
趣味がバレるような気がしますがそれも仕方ない(`・ω・´)
ちなみに弟はアニメの『東京マグニチュード8.0』『蒼穹のファフナーRIGHT OF LEFT』、漫画の『人魚の森』、小説の『盗賊(三島由紀夫)』、『逃げろ。(高村透)』などを挙げていました。

>しゃけもちさま
先日は突然すみませんでした…驚かれたでしょう('A`)?
思わずフォローを返させて頂いたのですが、もしかしたらゲームについて色々つぶやきにくくなってしまったのではないかと思いちょっと反省してます。
(私は基本的になんでもバッチコーイです!!ですのでそこいらへんの石ころだと思っていてください!!)
あまり制作者の人となりを知ってしまうと素直に作品に向けなくなってしまうのではないかとも思いますので、本当にいつでもリムーブでもブロックでもして頂いて結構ですから…!!
ペケ蔵FMSコンビは本当に私も愚腐弟も気が付かないうちにくっついていた(意味深)んですよねえ…。
もう6年も前のことなのであんまり覚えてないのですが、警官とヤンチャ系の組み合わせが私も愚腐弟も書きやすかったんですかね…。
2人で示し合わせたつもりは無いのに気が付いたらお互いにコンビっぽく書いてましたもんね。
そういう意味では本当に公式です。
一磋さんはどのシナリオでもある意味一番まともでしっかりした人ですし、歳も近いのでペケ蔵さんとは結構うまくやれてると思います。
ペケ蔵さんの方からすると最初はオシャレ(?)でワイルド系な美容師なんて地味な自分とは釣り合わなそうだーウワー!!って思ったかもしれないですけどねwww











拍手

充電期間にて・・・

ご無沙汰しております。
愚腐弟です。

たくさんの拍手、コメントをありがとうございます。
申し訳ないのですが、僕は気の効いたことが書けませんのでコメントの返事は姉が致します。
束縛スル里も公開してからはや半年以上。
それでもこうしてブログを見ていただけていることを大変うれしく思っています。
これからもどうぞよろしくお願い致します。


小ネタ以来の更新・・・本当はもっと小ネタを更新しようと思っていたのですが、なにしろ何も浮かびません。
面白そうなネタがなーんも浮かびません。
もっと頑張らねば・・・。


最近「ボクガール」というマンガを読みました!
TSものです!!
すごい面白いです!!
どこが良いかって、登場人物の心情を、セリフではなく細やかな絵やコマ割りで表現するところです!!
「好きだ」と言葉で表現するのは簡単ですが、それを絵で表現するのはとても難しいことだと思います!!
言葉が全てを支配する小説でも、「I love you.」を「月が綺麗ですね」と訳した夏目漱石さんは天才だと思います!!
それと同じでボクガールの作者である杉戸アキラさんはとてもいい仕事をしていると思います!!
はやく6巻出てくれ!!




で、他にも最近ヤマグチノボルさんの「ゼロの使い魔」を読み返してます。
ああ、やっぱゼロ使は面白いですわ・・・。
一般にはアニメの印象が強いだろうけど・・・原作厨といわれてもいい、ゼロ使の原作はやっぱり最高です。
ヤマグチノボルさんの書く主人公は僕の心情とどシンクロすることが多くて胸を打ちます。
ゼロの使い魔の主人公「平賀才人」は、ハルケギニアという貴族と魔法と剣が支配する世界に召喚された、ただの日本の高校生なので、基本的に弱いです。変態です。情けないです。
だけど、他のどんな主人公よりもカッコいいです。

ヒロインであるルイズや友達たちを助けるために7万人の軍勢に一人で立ち向かった時の・・・サイトとジュリオとの会話が大好きです。



「どこに行くんだい?」
 つまらなそうな声で、才人は答えた。
「逃げるんだよ」
「方向が逆だな。そっちはアルビオン軍だよ」
「そうか」
 気にせず馬に跨った才人を、ジュリオはまた呼び止めた。
「一つ聞きたいんだが」
 馬上から才人は答えた。
「なんだよ」
「どうして行くんだ? はっきり言うが、君は確実に死ぬよ。名誉のために死ぬ、そんなのはバカらしいんじゃなかったのか?」
「言っちまったからなあ」
「なにを?」
「好きだって、言っちまった」
 ジュリオは大声で笑い出した。
「あっはっは! ぼくたちロマリア人のような男だね、きみは!」
 しかめっつらのまま、才人は腕を組んだ。
「いや、好きな女のためというよりは自分のためのような気がする」
「よければその意味を教えてくれ」
 才人はまっすぐ前を見て、言った。
「ここで行かなかったら、好きって言ったその言葉が嘘になるような気がするんだよ。自分の言葉が嘘になるのは許せない。自分の気持ちが、嘘になるのはたまらない」




サイトさんマジですげえよお!!
他の誰かのためではなく、自分自身の想いがウソでないことを証明するために命を賭すサイトさん最高っすわ!!!!!!!
意地だね。男の意地ってやつ。
嫌なんです・・・好きだって言ったのに、大事に思っているのに、それを自分自身の行動によって嘘だと思えてしまうのが。本当の気持ちじゃなかったと思わされてしまうのが。
自分の気持ちが本当であることを証明するために、意地でも筋を通す・・・良いとか悪いとかではないんです。この考えは、今思うと我田引水編のラストに繋がっている気がします。

このシーンだけを抜き出すと、才人は出来すぎたキザな野郎にも見えるかもしれません。
が、実際に7万人の軍勢を目の前にした時の、インテリジェンスソード(意思を持った剣)であるデルフリンガーとの会話がまた良いんです。




「なあデルフ」
「なんだ」
「小さい頃の話していいか?」
「いいぜ」
「駅でさ、お婆さんが不良に絡まれてた。籠がぶつかったのなんだのって。でも俺ガキだったから、助けるだなんてできなくて見てただけだった。俺が強かったら、なんて思ったよ。でも同時にほっとしたな。強かったら、助けにいかなきゃならねえもんなあ。強くたって、勝てるとは限らねえもんなあ」
「そうだねえ」
「そう。強くなっちまった。力を手に入れちまった。もう言い訳できない。あのときは力がなかったから、間に入れなくても言い訳できた。俺は弱いんだからしょうがないって。でももう、言い訳できない。俺は今、”強い”からな。なにせあれだ。ガンダールヴだからよ」
 デルフリンガーは短く相槌をうった。
「うん」
「でもなあ・・・・・・、強さったって、外面だけだ。中身は俺、全然強くねえよな。なんも変わってねえ。しょうがねえよな、ガンダールヴとか伝説の使い魔とか、いきなりだもんよ。覚悟なんか、できねえもんよ。だからこういうの、柄じゃねえんだよ。みんなの盾になるとかよ、ほんとはすっごくイヤなんだよ。怖くて震えるよ。死にたくねえよちくしょう」
「相棒はてんで義理がてえや」
「損な性分だな。損すぎる」
 才人は思った。
 勇気というのは、こういうことなんだろうか?
「なあデルフ」
「なんだね?」
「俺、死ぬのか?」
「たぶん」
 才人は黙ってしまった。とりなすように、デルフリンガーが言った。
「まあなんだ、どうせならかっこつけな」
「なんで」
「もったいねえだろ」
 前方四百メイルほどに、アルビオン軍の前衛が見えた。
 自然と身体が動いた。それはガンダールヴの力なのか、才人個人の勇気なのか、それとも別の何かなのか、わからなかったが・・・・・・。
 才人は、七万めざして駆け出した。




ジュリオとの会話で終わっていればただのカッコいいやつなのに・・・このデルフとの会話で、サイトは弱い人間であることがわかります。
本当は死ぬのが怖くて、ひとりで立ち向かうのなんか嫌で、震えながら弱音を吐くサイトが、それでも強大な敵に向かっていくサイトが、精一杯カッコつけるサイトが、愛おしくてしょうがないです。僕の心を震わせてなりません。
弱くても、勇気を奮い立たせて困難に立ち向かっていくサイトは、最高にカッコ悪くて最高にカッコいいと思います。
僕もいつか、こんな読む人の心を震わせるような物語を書いてみたいです。

不幸なことに、作者のヤマグチノボルさんはゼロの使い魔を完結させることなく亡くなられてしまいましたが、それでもゼロの使い魔が素晴らしい作品であることに疑う余地はありません。
もしもゼロの使い魔に興味を持っている方がおりましたら、ぜひ読んでいただきたいです。
ライトノベルのお手本のような作品だと思います。
おススメです。






と、なんかよくわからないブログになりましたが・・・。
ボクガールは変幻六花編。
ゼロの使い魔は我田引水編。
それらに関係しているネタのような気がしないでもないので、良い事にします。

ほな・・・また・・・。

拍手